20/08/2026
西伊豆宇久須の温泉に咲く「温泉の花」
動画で湯口の周りに見られる、モコモコと膨らんだ白い塊や、キラキラと光る透明な粒。
これは、温泉の成分が空気や水に触れることで生まれる、いわば「温泉の花」です。
当館の温泉では、源泉が空気に触れたり、浴槽へ流れ込む過程で成分が濃縮されたりすることで、カルシウムなどの成分が結晶となって少しずつ付着していきます。
外側の粉っぽいのは空気に触れて固まるカルシウム、浴槽の中にできる透明感のある硬い結晶は水に溶けきれなくなった硫酸カルシウムで、両方が同時に付く宿は全国でも数えるほどしかありません。
湯口の外側にできる白くモコモコとしたものは、空気に触れて固まったカルシウム成分。
一方、湯船の内側に付着するザラザラした結晶は、温泉中で飽和した成分が析出したものです。
この二つが同時に育っている様子は珍しく、源泉の成分が濃く、温泉が生きたまま湧き出ている証拠のひとつともいえます。
特に、岩の上にこんもりと積もった白い「温泉の花」は、そこからどれだけ長い時間、温泉が流れ続けてきたのかを感じさせてくれます。
削り取らずにそのまま残しているからこそ、長い年月をかけて育った温泉の姿を見ることができます。
また、浴槽にできた白いモコモコとした部分と、内側のザラッとした結晶では見た目や質感も異なります。
湯の成分が空気に触れる場所では固まりやすく、浴槽の中では別の形で結晶化するため、同じ温泉でも場所によって異なる「温泉の表情」を楽しめるのも魅力です。
こうした成分が豊富な温泉は、入浴後にも特徴があります。
温泉の成分が肌に残ることで、上がった後もしっとりとした感覚が続くことがあります。
そのため、せっかくの温泉成分を楽しむなら、入浴後は強く洗い流したりゴシゴシこすったりせず、軽く水分を拭き取る程度にするのがおすすめです。
白く積もった結晶、キラキラと光る粒、湯口から流れ続ける源泉――。
これら一つひとつが、その温泉が長い時間をかけて作り上げてきたもの。
「温泉の花」は、ただの汚れや析出物ではなく、その温泉の個性と年月を目で感じられるものなのです。